000

ホスラブてめちゃ保守

+本文表示

だよな

505

あのとき解散をやっておけば、あんな騒動はなかったと思うんですよ。
― 新条約を問う形であのとき解散・総選挙をしていれば、政権側は勝っていたでしょうか。
岸― 選挙をして、私は決して負けはしなかったと思いますよ。社会党やマスコミ、あるいはいわゆる文化人といわれている人たちは新条約に随分反対したけれども、国民一般の立場からすれば、支持したものが非常に多かったと思うんです。
― 結局、解散はやりませんでしたね。
岸― できませんでした。党内の調整にあたっていた川島幹事長が、どうしてもこれに賛成しなかったんだ。というのは、「解散」の線で党内をまとめることは、到底できないということでした。選挙にあたって党内が不統一では勝ち目がないといって、川島君はどうしても解散に賛成しなかったんです。
― 総理はワシントンにおいでになる前から解散ということを考えておられたわけですか。
岸― ええ、考えていました。総選挙をやらなかったのは非常に残念だし、大きな失敗だった。

506

― この件で川島さんとは議論なさいましたか。
岸― 議論というよりも、本当に腹打ち割って話し合ったけれども、どうしても解散は駄目だと川島君はいうんです。やはり選挙ということになると、私の経験からいっても、幹事長が党内をまとめて公認候補を整理し、選挙運動の全責任を持つわけですからね。その幹事長がどうしても解散に納得しなかったんです。
― 具体的にはどういうことだったんですか。
岸― それは三木、河野君なんかの反対があったということです。こういう党内の特殊事情から解散ができ

507

― 1月24日には民主社会党が結成されました。
岸― 私は一貫して、保守党と革新政党の二大政党制にすべきだという考えですから、社会党が分裂することは望ましくないと思っていました。この段階としては社会党の分裂はやむをえないかもしれないが、本来は社会党自身が西尾君一派の考え方をもって自民党に対する第二党になって欲しかった。自民党の政策が間違った場合には、政権を担当する国民政党にまで成長してもらいたいというのが私の一貫した考えでした。そういう意味において、分離小党化するということは望ましい形ではない

508

― 2月9日に衆院特別委員会に新条約が提出されますが、最も時間を費やしたテーマの一つは極東条項でした。「極東」の範囲というのがそれです。
岸― 私はいま考えると、「極東」の範囲ぐらい愚論はなかったと思うんです。常識的に考えればいいんだ、というぐらいのことで、法律的にどこからどこまでという議論は、実に愚論だと思います。
― この問題では随分揉めましたね。
岸― 愚論でした。あの時の野党からすれば、何か問題を起こして審議を延ばそうということだったんですから、われわれがこの思惑に利用されたということだ。

509

― 安保改定の質疑応答は戦後の議会史でも最も活発な議論であったと思うのですが、総理にとって苦労された争点というのは何でしたか。
岸― 「極東」の範囲なんていうのは苦労した格好になっているけれども、あれは愚にもつかなかったね。しかし政治というのはおかしなもので、議論としては大した結果をもたらさなくても、これが揉めるとね、肝心の問題が割合スーッと通ってしまう。例えば憲法の範囲内において日本が武力を強化していくという問題のほうが実質的には重要なんだ。あるいは「事前協議」の問題です。日本政府がノーといった場合、イエスといった場合、どういう問題が発生するかということは大変な問題ですよ。

510

くる日もくる日も、永田町にはデモが押し寄せ、「安保反対」「岸倒せ」を叫びながら怒濤のようにうねった。それは5月のなかばにはいよいよ激しく、昂まっていった。国会の会期は5月26日の幕切れまで、あと十日しかないところにまで迫った。社会党も安保阻止会議も、
「幕切れまで、追い込め」
「安保は、流産になる」
と、いやが上にもデモの動員をエスカレートさせた。闘争は過熱状態に達した。
「会期を延長しないかぎり、安保は成立しない」という事態に直面して、自民党は総務会、両院議員総会で、「50日間の会期延長」方針をとりきめた。5月17日のことである。議員総会の空気は殺気ばんでいた。どのみち社会党の猛反撃を押し切り、強行突破しなければならないことが明らかだったからである。

511

その夕方、岸は何人かの政府与党首脳を院内の総理大臣室に招いた。政府側は佐藤栄作蔵相、池田勇人通産相、藤山愛一郎外相の三人、党側は川島幹事長と福永健司国対委員長、岸派代表の南条徳男、佐藤派代表の保利茂の四人、それに安保特別委員長の小沢佐重喜が加わった。
これらの人びとを、岸はけわしい眼つきでみまわしながら、
「会期延長を急いでもらいたい」と、督促した。
福永が、国会対策の立場から答えた。
「最大限急いでも……議運の手続きがありますから、明後19日になります」
「そうしてくれ」と、岸はぶっきらぼうないい方だった。一日も待てない、という焦慮が強かったのだ。
それをうけて保利があとの運びについて計算をしてみせた。
「50日延長すれば前半の20日間で、衆議院で安保をあげられます。あと30日間……たとえ参議院が審議未了に終わったとしても、安保は自動的に成立です。だいぶゆとりができますな」
「いや……」岸は首を振った。
「会期を延長してもだね、安保はゆっくりはできん」
緊張した表情で話しつづけた。
「アイゼンハワー大統領が来日するのが6月19日だ……アイクがくる6月19日までに日米安保の批准を成立させておきたい」

512

川島も、佐藤も池田も、顔を見合わせた。
― となると、あと一か月とちょっとしか期日がない。むつかしいかも知れない。
という懸念の色が、みなの表情のなかに浮かんだ。川島が口をひらいた。
「6月19日の批准成立をはかる……となると、参議院での自然成立の期間30日をみこんで衆議院は5月20日には通過させなければなりませんな」
川島は、いったん言葉を切ったあと、あらためてこういった。
「けっきょく、この19日に会期延長を議決するさい、安保も一緒に強行突破する以外、方法はない。それにですな、会期延長と安保と強行突破を二度やるよりも、一度にやってのけたほうが面倒が省けます。どんなものでしょうかね?」
「そうする他、あるまい」と、みなが賛意を表した。
「で、その運びについてだが……」と、川島が、政党、国会のかけ引きには手慣れている政党人らしい意見を出した。
「安保のことは、絶対に伏せておかんとまずい。19日の本会議は、50日間の会期延長だけの議決……と、野党はもちろん、わが党にも信じさせておく必要がある。安保も一緒だとわかろうもんなら、かならず党内からも河野君や三木君が反対する。うまくはいかない」

513

「…………」だれもが、無言ではあったが、そのとおりというようにうなずいた。
「とにかく、会期延長だけということで本会議をひらく。みなを議場に入れておいて、そのあいだに安保委で審議打ち切り、中間報告の動議を成立させてしまう。そのまま本会議にもちこんで、いっきに可決……。この手を使うことですな……」
みなが賛成だった。岸も、ようやく、ほっとした顔つきになった。
「が……小沢君、君は大役だよ」と、安保特別委員長の小沢佐重喜の顔をみた。
「なんとか、やります」と、小沢は返事をした。
小沢は古く東京市議だったころから議事運営についてはベテランであった。戦後、衆議院に出てきてからも議運でメリットをあげ、その委員長をつとめた。与野党が激突しそうな法案があると、それを審議する委員会の委員長のポストが、小沢のところに廻された。そこで与野党の大混乱、はては大乱闘で、小沢は負傷し、頭にほうたいを巻いたいでたちで、委員長席についたこともあった。それを知っている池田が、
「こんども、ほうたいを巻かねばならん……かも知れんよ」といった。
小沢は、にこりともしなかった。寡黙で、生まじめな彼は、
「いいですよ」と答えた。

514

川島幹事長が、衆議院の議長室に、清瀬一郎をおとずれたのは、その翌18日の午前中であった。
「総理の意向として……19日の本会議で、50日間の会期延長を決めてもらいたい」と、川島は申し入れた。安保のことは、もちろんおくびにも出さなかった。いかにもこともなげな口調であった。
「それにしてもだね、清瀬君。そのさい、院内に警官を導入してもらいたいんだ」
「警官導入……ですか」
この老人は、不満の色をみせた。警官を院内に入れて、その護衛で本会議をひらくということは、議会政治の上からいえば、尋常なことではない。そういう方法を、清瀬議長は決して好まなかった。
「その必要がありますかな?」
「ありますな。連日のこのデモと、社会党の反対で、暴力沙汰が起こるおそれ充分だ」
そうなりそうな気配は、清瀬にもわかっている。
― 会期延長反対、その本会議阻止をはかって社会党の連中は、議長である自分を、かん詰めにしかねない。無理押しすると乱闘になる。警官の力を借りなければ、やはり無理か……。
清瀬は、みずからを納得させた。

コメント本文必須

残り文字

名前/性別

トリップキー16文字マデトリップキーとは

ハッシュタグ

記号(@、+、-、!、?など)はご利用いただけません。

動画10MBマデ


画像5MBマデ(JPG|GIF|PNG)


削除PASS半角英数4〜16文字マデ

共有動画YouTubeの共有URLを入力

ホスラブは完全匿名で投稿できますが、ガイドラインをよくお読みになってご利用ください。

同意してコメント

1.アクセスログの保存期間は原則1か月としております。
尚、アクセスログの個人的公開はいたしません。
2.電話番号や住所などの個人情報に関する書き込みは禁止します。
3.第三者の知的財産権、その他の権利を侵害する行為又は侵害する恐れのある投稿は禁止します。
4.すべての書き込みの責任は書き込み者に帰属されます。
5.公序良俗に反する投稿は禁止します。
6.性器の露出、性器を描写した画像の投稿は禁止します。
7.児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(いわゆる児童ポルノ法)の規制となる投稿は禁止します。
8.残虐な情報、動物を殺傷・虐待する画像等の投稿、その他社会通念上他人に著しく嫌悪感を抱かせる情報を不特定多数の者に対して送信する投稿は禁止します。

利用規約に反する行為・同内容の投稿を繰り返す等の荒らし行為に関しては、投稿者に対して書き込み禁止措置をとる場合が御座います。

四国版の掲示板一覧

copyright© hostlove.com All Rights Reserved.

トリップキーとは?

個人を識別するためのキーです。
トリップキーに入力された文字列から、
毎回同じ暗号文字が生成
されます。

例:[ホスラブ] → u7hgpnMxsk

※他者にはトリップキーに入力された文字列が分からないと、同じ暗号文字を作ることはできないため、掲示板などで個人を証明するために用いられています。
※16文字以内で他者に推測されない任意の文字列を使用してください
1.アクセスログの保存期間は原則1か月としております。
尚、アクセスログの個人的公開はいたしません。
2.電話番号や住所などの個人情報に関する書き込みは禁止します。
3.第三者の知的財産権、その他の権利を侵害する行為又は侵害する恐れのある投稿は禁止します。
4.すべての書き込みの責任は書き込み者に帰属されます。
5.公序良俗に反する投稿は禁止します。
6.性器の露出、性器を描写した画像の投稿は禁止します。
7.児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(いわゆる児童ポルノ法)の規制となる投稿は禁止します。
8.残虐な情報、動物を殺傷・虐待する画像等の投稿、その他社会通念上他人に著しく嫌悪感を抱かせる情報を不特定多数の者に対して送信する投稿は禁止します。

利用規約に反する行為・同内容の投稿を繰り返す等の荒らし行為に関しては、投稿者に対して書き込み禁止措置をとる場合が御座います。

お手持ちのスマートフォンで下記QRコードを読み取ってください

友達にこのページをLINEで送信する事が出来ます。

名前/性別6文字マデ

トリップキー16文字マデトリップキーとは

コメント本文必須

残り文字

ハッシュタグ

記号(@、+、-、!、?など)はご利用いただけません。

画像5MBマデ(JPG|GIF|PNG)


削除PASS半角英数4〜16文字マデ

共有動画YouTubeの共有URLを貼り付けて下さい。

ホスラブは完全匿名で投稿できますが、ガイドラインをよくお読みになってご利用ください。

同意して投稿

ローカルルールと検索方法

なんでも雑談(雑談・コミュニティ)

ローカルルール違反の話題作成は削除対象になります。