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野球知らんねん

　巨人のドラフト１位・岡本和真内野手（１９）が、２７日のヤクルト戦（神宮）で１軍に初昇格。しかし、出場機会なくチームは２試合連続の完封負けで５連敗となった。
　チームは、２６日に今季１１度目の零敗を喫し、４連敗で３位に転落。１１残塁の貧打線の起爆剤として、黄金ルーキーを昇格させた。岡本は、イースタンの６９試合で打率２割５分８厘、１本塁打、１６打点と結果を出し力で１軍をつかみ取った。
　◆岡本　和真（おかもと・かずま）
　１９９６年６月３０日、奈良・五條市生まれ。１９歳。小学１年から野球を始める。橿原磯城（かしはらしき）シニア所属の中学３年時、シニア日本代表の４番として全米選手権優勝。智弁学園高（奈良）では通算７３本塁打。３年の春夏に甲子園出場し、春には１試合２本塁打を記録。同夏の１８Ｕアジア選手権でも４番として準Ｖに貢献した。１８３センチ、９５キロ。右投右打。年俸１２００万円。

　夢のような一日だった。初昇格を果たしたドラフト１位ルーキー・岡本は出場機会こそなかったが、ベンチの最前列で声をからし、戦況をじっと見つめていた。「目の前にいつもテレビで見ていた世界があって不思議な感じがしました」
　敗戦の瞬間はベンチ裏にいた。「何をしていいか分からなかった」と指示があったわけではないが、バットを握り、初出場の瞬間に向けて集中力は切らさなかった。
　存在感は示した。試合前のミーティング。阿部から「何か一発かませ」とむちゃぶりされ、「奈良県から来ましたジョニー・デップです」と原監督やナインらにあいさつ。声が小さく、うまく伝わらなかったのか“岡本ギャグ”はややウケに終わったが、貧打解消の起爆剤として期待される１９歳は試合直前の円陣でも声出しを担当。勝手が分からず、練習から汗だくだったが、必死に盛り上げた。
　前日２６日の午後１０時頃、初昇格の知らせを受けた。プロ入り後は腰の張りなどで前半戦だけで２度の離脱。それだけに「後半戦は頑張ろうと思っていたので良かった」と喜びはひとしおだった。出番はなかったが、８回にはネクストバッターズサークルで雰囲気を味わった。

　２８日からの中日戦は東京Ｄで行われる。「行けと言われたところで行けるようにしていきたい」。本拠地でド派手なデビューを狙う。

　巨人のドラフト１位・岡本和真内野手（１９）が、２８日の中日戦（東京Ｄ）で１軍デビューを果たした。７点リードの７回無死一塁。岡本は、投手・高木の代打で登場。中日の祖父江の初球を振り抜くも二塁後方の内野フライに倒れた。
　チームは２６、２７日に神宮でヤクルトに２試合連続１１残塁で完封負けと極度の打撃不振に陥っている。貧打線の起爆剤として、黄金ルーキーに期待がかかる。岡本は、イースタンの６９試合で打率２割５分８厘、１本塁打、１６打点。と結果を出し力で１軍をつかみ取り、２７日に１軍昇格し２試合目でチャンスが回ってきた。

　歓声が耳をつんざいた。岡本の名前がコールされた瞬間、東京Ｄが揺れた。「今までに受けたことがないような声が聞こえてありがたかったし、うれしかった」。打席に入ると球場は「岡本！　岡本！」の大合唱に包まれた。
　７点リードの７回無死一塁、高木勇の代打でプロ初出場。祖父江の初球、外角低めの１４４キロを打ちにいった。「初球から振る積極性も僕の持ち味。少々のボールでもいってやろうと思った」。結果は二飛だったが、自分らしさを貫いた。
　その後は三塁の守備に入った。８回２死で三遊間への打球を軽快にさばいた。「いつも見る景色と同じだったので、フィールドに立てば全く緊張しなかった」。そう話した黄金ルーキーを、原監督は「生涯、忘れられない打席だろうし、一つのサードゴロをさばいたというのも、いいスタートだと思う」とたたえた。
　黄金ルーキーは、３月に腰の張り、５月には下半身のコンディション不良で１か月ずつ戦線離脱した。感覚を取り戻そうと打席で力み、高校通算７３発男が７月が終わっても本塁打ゼロだった。「ホームランの打ち方を忘れてしまった」

　スランプ脱出のきっかけは“３冠バット”だった。７月下旬、ファームでのソフトバンク戦（雁の巣）前。勇気を振り絞り、憧れていた現役唯一の３冠王である松中の元に向かった。「お、おかもとです」。緊張で声は震えていたが、かけられたのは意外な言葉だった。
　「せっかくだから１本あげるよ」。振りやすさを追求し、ヘッドの先端がくり抜かれたバットを手渡された。大事に持ち帰ると、帰京後も寮で振り込み、体になじませた。８月１日。“宝物”を使い、イースタン・楽天戦（Ｇ球場）でプロ初アーチ。「もうこれじゃないと打てる気がしないです」。２７日に１軍切符を勝ち取り、この日もそのバットでフルスイングした。
　指揮官は「さあここからじゃねえか、というところ。何か月間の中で成長の跡は見られると思うよ」と飛躍を期待した。「僕は１軍で活躍することが目標。少しでも長く出してもらえるようにやっていきたい」と岡本。結果は出なかったが、存在感は見せた第一歩だった。

　ドキドキしていたのは岡本だけじゃなかった。東京Ｄから遠く離れた奈良の自宅…ではない家のテレビで観戦したのは、母校・智弁学園の小坂将商（まさあき）監督（３８）だった。
　自宅は地上波しか映らず、この日は「嫁さんの実家で見ていました」。前日は「初めて一度も目を離さず、プロ野球を１試合見ました」が、教え子の出番なし。メールで連絡を取り合っていた岡本も「知り合いの家で見ていてくれたみたいです…」と少しだけ申し訳なさそうだった。
　７月上旬、電話で「トップだったり構えが小さくなっているのでは」とアドバイスをもらった恩師に、１日遅れの晴れ姿を見せた。試合後、携帯には小坂監督からメールがあった。「初球から好きなアウトコースを打ちにいって、お前らしいバッティングだったな」。結果は出なくても、強気な姿勢は伝わっていた。

　坂本も、黄金ルーキー・岡本のデビューに注目していた。イニング間のベンチでは頻繁に話しかけてリラックスさせようとしていたが、８、９回の守備で三遊間を組み、「楽しそうにやっていて、すごいなと思った」とびっくり。「これから教えていけることもあると思うので、アドバイスしていければ。いい刺激にあんる。負けないように頑張ります」とエールを送った。

　巨人のドラフト１位・岡本和真内野手（１９）が２９日、中日戦（東京Ｄ）の試合前練習で自慢のパワーを見せつけた。前日２８日の同カードの７回無死一塁、高木勇の代打でプロ初出場して二飛。８回から三塁の守備に入り、平田の三遊間のゴロを難なく処理した。
　一夜明け、フリー打撃で約５０スイング中、左翼席への５連発を含む１１本のサク越え。「バッティング練習なので」と本人は冷静だったが、試合での活躍を予感させた。