秋季キャンプ最終クール3日目｡サンマリンスタジアムでは､午後の打撃練習が始まる少し前から､雨が降ってきました｡岡本選手は雨をものともしない豪快なスイングです｡が､気温も上がらす､スタンドのファンは傘を差しての応援です｡

　来季が勝負の４年目。巨人・岡本はこの秋、外野から三塁に再コンバートされた。「１球を捉えることを課題にしている。練習がキツいとは思わない」。１５００スイングが課せられている地獄の宮崎秋季キャンプでも威勢がいい。
　第１クールの４日には、高橋監督から直接指導を受けた。打者に大切な「間」の取り方だ。投手寄りの左足でタイミングを取ると、前に突っ込む。「後ろ足で間を取ることを教わりました」。未来の４番候補に指揮官の期待も大きい。
　このオフ、正三塁手の村田が戦力外となった。球団は３６歳のＦＡ戦士を退団させ、若手から「逃げ道」を奪った。昨季は村田と三塁を争い、ポジションを勝ち取れなかった。今季は外野に回り「７番・左翼」で開幕スタメン出場したが、１５試合の出場に終わった。来季こそ。
　１７日のロングティーでは、サンマリン宮崎の左翼にドデカい打球を運び続けた。「今やっていることが来年につながるように。本当に結果を出すのは、来年のシーズン」。天性の「飛ばす能力」に磨きをかけている。

　秋季キャンプ最終クール4日目｡午前の練習､こちらは守備グループの岡本選手｡ワンバウンドの捕球練習です｡投げる川相･新二軍監督は､至近距離から､右に左に正面に､ショートバウンドやハーフバウンドも織り交ぜていて､対応するのは大変そうです｡4球連続で5セットずつ､増田選手と組んで2人交代で､取り組んでいました｡

　巨人の宮崎秋季キャンプで１８日、１９日の打ち上げを前に最後の１日練習を消化した。岡本和真、増田大輝の両内野手は午前と午後に川相昌弘２軍監督からそれぞれ計６００球以上のノックでしごかれた。
　午後の屋外球場で行われた２人へのノックは早いテンポで延々と続いた。岡本が思わず「（時間が）長い…」とつぶやくと、川相２軍監督が「何か言ったか？」とギロリ。「何も言ってません！」と答えた岡本に、球際を突く難しい打球が放たれ続ける場面も。熱のこもった猛特訓となった。
　１０００球以上のノックのシャワーを浴びせ、振り込みが続く野手並みにノックバットを振った川相２軍監督は「増田はスピード、肩、テクニックは持っている。あとは球際と丁寧さ、足を使って追いかけること。岡本はだいぶ低く動けるようになっているし、いろんなボールに食らいつくようになった。気迫といういい部分は持っている」と２人の成長を認めた。

　巨人・岡本和真内野手（２１）の背番号が「３８」から来季、「２５」に変更されることが１８日、分かった。
　岡本にとって師匠のような存在だった村田修一内野手（３６）が今季まで背負い、過去にも李承ヨプらの大砲がつけてきた栄光の番号を、将来の４番候補が継承する。背中の重みを感じながら、来季のブレイクを目指す。
　憧れ、追い続けてきた背中だからこそ、託される役割や重みは一番よく分かる。岡本が来季から背負う「２５」は、今季限りで退団した男・村田がつけていた背番号だ。ホットコーナーを奪うべく何度も挑戦し、ことごとくはね返された大きな壁であり、師匠ともいえる存在。村田がチームを去る際、岡本は「教わったことを無駄にしないで、僕らが何とかしないといけない」と覚悟を口にしていたが、そんな看板も受け継ぎ、再スタートを切ることになった。

　まだ１軍通算３５試合で１本塁打と実績は少ないが、「２５」にふさわしい能力を秘めている。智弁学園では高校通算７３発と怪物ぶりを発揮し、１４年ドラフト１位で巨人入り。長嶋茂雄終身名誉監督、原辰徳前監督の現役時代の背番号を掛け合わせた「３８」を背負った。１年目にはプロ３打席目で初アーチと、９３年の松井秀喜（７打席目）よりも速いデビューを飾った。
　大舞台にも強く、昨年のフレッシュ球宴とファーム日本選手権では、ともに本塁打を放ってダブルＭＶＰを獲得した。また、今季はプロ３年目で初めて開幕スタメンを勝ち取るなど、一歩ずつステップアップ。高橋監督も「ボールの入り方とか間の取り方とか良くなっている。打球がより飛ぶようになっている」と評価し、「『４番でも打たせてみようか』となるように、開幕までの半年間で見せてほしいね」と期待していた。

　現在は宮崎秋季キャンプに参加中で、この日は川相２軍監督にみっちりシゴかれて泥だらけになった。「あっという間に（春季）キャンプになって、来季が始まる。オフは意識してバットを振っていきます」。村田だけでなく、ＤｅＮＡの筒香やメジャーの元大砲・ボンズも身につけた「２５」。スラッガーの代名詞を背負い、岡本が目覚める。
　◆背番号２５　村田以前では、日韓通算６２６本塁打のスラッガー・李承ヨプ（０７〜１０年）が記憶に新しい。他には鈴木康友（８２〜８４年）、鴻野淳基（８５〜９１年）、川口和久（９５〜９８年）、入団当初の亀井（０５〜０６年）らが背負った。他球団では筒香（ＤｅＮＡ）、新井（広島）、バリー・ボンズ（メジャー・ジャイアンツ）が有名で、村田や李承ヨプを含め、スラッガーのイメージが強い番号だ。

　巨人の宮崎秋季キャンプで､3年目の岡本が飛距離アップに手応えをつかんでいる｡18日は午前中までの雨で室内練習場での打撃練習となったが､力強いスイングを見せた｡
　1日のキャンプイン同様､この日もフリー打撃やティー打撃で約2時間､振り込むメニューがあった｡岡本は疲労の色を見せず､豪快な振りで快音を響かせる｡高橋監督は｢(体の)強さは最低限あるかな｣と､まずは及第点｡あとは技術面の向上に期待を寄せた｡
　今キャンプでは打撃フォーム改善に取り組んできた｡｢体が前に出やすかった｣と二岡打撃コーチが指摘するように､右打席で左足を踏み出す際に体も突っ込む悪癖があり､持ち前のパワーがボールに伝わりきらなかった｡修正のため､軸足にしっかり重心を置く意識付けを何種類も行うティー打撃で徹底｡徐々に力がバットに乗るようになり､岡本は｢強い打球が飛ぶし､距離も出る｣と充実の表情だ｡
　上達へのヒントを得た21歳の姿に､高橋監督は｢来年につながってくれれば良い｣と話す｡長打力のある若者の精度が上がれば定位置取りのチャンスは増す｡今季一軍で出場15試合に終わった岡本は､｢とにかく打つしかない｣と燃えている｡

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若手を育てられない巨人で？

　高橋監督はキャンプイン前夜､｢秋のキャンプの目的は､チームとしてのプレーよりも個人の技術向上｡チームは来季に向けて新しい力を必要としている｡その中で一軍に上がる､一軍でプレーするのが目標ではなく､一軍で活躍することが目標にならなきゃいけない｣と訓示した｡個々のレベルアップ｡狙いは明確だった｡
　そんな期待に応えなければいけない1人が､岡本だ｡
　伸び悩みをみせる2014年秋のドラフト1位は3年目の今季も､15試合の出場で打率1割9分4厘と結果を残せなかった｡
　飛距離に関しては､参加メンバーの中でトップクラスだ｡キャンプ中に行われた練習試合では3試合とも4番でスタメン出場したことに､高橋監督の期待の大きさが表れている｡11日に行われた韓国･ハンファ戦では3打数3安打で､いずれも単打だったが､打球は鋭かった｡
　翌12日､居残り特打に挑んでいた岡本に､高橋監督は自ら打撃投手を務めて100球ほど投げ込んだ｡いろいろな方向から選手を見たいという指揮官が､投手目線で岡本を観察した｡