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アウディ(総合)

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レクサスなんかより数段高いわバーカ(笑)

667

夜更け。ゼロコーラを片手に、彼は再び掲示板を開く。
「お前らにはわからんだろ、アウディTTの本当の良さが」
 画面にそう打ち込みながら、唐辛子だらけの飯を炊飯ジャーからすくい取る。
 その姿は滑稽でありながら、どこか哀れでもあった。

 ――コーラの泡が弾ける音だけが、古いワンルームに響いていた。

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『ゼロコーラとアウディTT 〜爆笑ワンルーム編〜』

 ある日曜の昼下がり。
 四十五年もの歴史を誇るワンルームは、今日もゼロコーラのペットボトルで埋め尽くされていた。空きボトルはすでに十五本を超え、もはやゴミ袋では収まらない。男はそれを「インテリア」だと言い張り、友人のいない部屋を華やかにしているつもりだった。

「やっぱり黒と赤のラベルが映えるなぁ……これが俺の美的センスだ」
 そうつぶやきながら、坊主頭の百キロデブは炊飯ジャーを開けた。
 中にはまだ残っていた昨夜の白米。そこに一気に生卵と唐辛子をぶちまけ、真っ赤なマグマ丼に仕上げる。

 しかし、唐辛子を振りすぎてしゃっくりが止まらなくなった。
「ヒック! 俺は辛いの得意だからな! ヒック!」
 涙と鼻水を垂らしながらも、なぜか得意げにスマホで自撮りし、その写真を掲示板にアップロードした。
 コメント欄にはすぐに書き込みがつく。
「汚ねえ飯www」
「炊飯ジャー直食いとか犬かよw」
 だが本人は大真面目にこう返すのだ。
「直食いが一番効率的だし、これがGUCCIスタイル」

 GUCCIは関係ない。

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その後、彼は愛車アウディTTに乗り込む。
 窓を全開にし、車内にもゼロコーラの1.5リットルを持ち込み、運転しながら豪快にラッパ飲みする。
「やっぱりアウディttで飲むゼロコーラは最高だぜ!」
 ペットボトルを掲げて叫ぶ姿は、傍から見ればただの危ないおじさんだった。

 案の定、信号待ちしていた主婦が目を丸くした。
「ママー、あの人、車の中で自撮りしてる!」
 助手席から見えるこの光景は異様だった。

 それでも男は気にしない。
「これが俺流の自撮りスタイルよ!」
 と得意げに飯粒を頬につけたまま叫んだ。

 その夜。掲示板に彼の新しいスレが立つ。
『【速報】コンビニ前で自撮りするアウディTT爆走おじさん現る』

 彼の伝説は、また一つ増えた。

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『ゼロコーラとアウディTT 〜病院で大暴走編〜』
 火曜日の午前、坊主頭デブの男は、病院の精神科の通院日だった。
 築45年のワンルームから出てくる姿は、自慢の革ジャン(?)コーデ。
 腕にはキラキラした時計、首にはゴツいネックレス、腰には巨大なバックル。すべてネット通販で買った品である。本物か偽物かは知らないが、本人の中では「俺はセレブ」だった。
病院の待合室に到着すると、まずはゼロコーラをゴクゴク。
コーラを持ち込み、豪快に飲む姿に看護師が目をひそめた。
「す、すみません、飲み物は少し控えてくださいね」
「これがないと落ち着かねえんだよ! 俺の精神安定剤はゼロコーラなんだ!」
 堂々と宣言する中年デブ。隣の患者たちの視線が一斉に突き刺さる。
診察室に呼ばれると、医師は静かに問う。
「最近、掲示板でまたトラブルを起こしたそうですね?」
 どうやら彼の炎上は病院スタッフにも伝わっていたらしい。
「いやいや先生、違うんですよ。俺はただ、自分のGUCCIコーデを披露しただけなんです! そしたらアンチが嫉妬して荒らしてきて!」

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「……無修正で顔と局部を晒すのは“披露”とは言いません」
「え? じゃあ何て言うんですか?」
「ただの公然猥褻未遂です」

 図星を突かれた坊主頭デブは、赤面しながらもゼロコーラをまた一口。
 医師はため息をつき、処方箋を書いた。
「とりあえず、この薬を飲んでください。あとゼロコーラの量は減らしましょう」
「えぇ!? 先生、ゼロコーラが俺の人生の燃料なんですよ!?」
「なら、せめて一日3本を2本に減らしましょう」
「……じゃあ、2.5本で手を打ちます」

 診察後、彼はアウディTTに乗り込み、すぐさま掲示板に書き込んだ。
『病院でまた神対応してきたwww 先生も俺のゼロコーラ愛には脱帽してたわwww』

 だが、コメント欄は冷たかった。
「ただの病人」
「ゼロコーラおじさんまた捕捉されたのか」
「公然猥褻未遂www」

 その日もまた、彼は掲示板の笑い者になった。

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『ゼロコーラとアウディTT 〜伝説の立ち往生編〜』

 その日、坊主頭デブはいつものようにゼロコーラをラッパ飲みしながらアウディTTを走らせていた。
 中古で買ったこの車は、彼の唯一の自慢であり、「俺はセレブ」という妄想を支える最後の砦でもあった。

「やっぱ国産とは違うよなぁ! 外車のオーラってやつ?」
 と、窓を全開にして独り言を叫ぶ。

 しかし走り出して10分後、TTのメーターに謎の警告ランプが点滅した。
「え? なんだコレ? まぁ大丈夫だろ! GUCCIのベルトつけてる俺が乗ってるんだから壊れるわけねえ!」
 全く根拠のない自信で走り続けた結果、案の定、交差点の真ん中でエンジンがストップ。

 信号が青に変わり、後続車からクラクションが鳴り響く。
 坊主頭デブは慌てて窓から顔を出し、こう叫んだ。
「ちょっと待って! アウディ様の休憩だから!」

 もちろん誰にも通じない。
 彼は仕方なく車を降り、100キロの巨体でTTを押し始めた。ゼロコーラ片手に。
 そのシュールすぎる光景に、通行人は思わずスマホを構える。

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翌日、掲示板には動画がアップされた。
『【爆笑】ゼロコーラ片手にアウディTT押す坊主デブおじさんwww』
 コメント欄は大炎上。
「コーラ飲む暇あったら両手で押せ」
「GUCCI着てても車は動かねえぞw」
「もうカブチョッパーに戻れよwww」

 それでも本人はめげない。
『いやぁ、やっぱ外車って存在感あるわ! 止まっててもみんなの視線を集めてたからなwww』
 と得意げに書き込み、再び失笑を買ったのであった。

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『ゼロコーラとアウディTT 〜GUCCI大戦争編〜』

 坊主頭デブは今日もワンルームで、ゼロコーラをラッパ飲みしながら掲示板にログインしていた。
 自撮りしたGUCCIコーデ(?)の写真をうpした直後、スレはあっという間に荒れ始めた。

『それパチもんじゃね?w』
『直営店で買った証拠出せよ』
『タグのフォント歪んでて草』

 中年デブは即座に反論する。
『は? 本物に決まってんだろ! 俺くらいのセレブになると通販でも直営クラスの物しか来ねえんだよ!』

 だが、すぐにアンチが証拠を投下した。
『お前のうpした財布、ヤフオクで売ってるやつと同じじゃんwww』
『しかも「GUCCY」って綴り間違ってるやつwww』

 スレは大爆笑の渦に包まれた。
「GUCCYおじさん」
「ゼロコーラと偽物GUCCIの二刀流」
「TTよりGUCCYが壊れそう」

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毎回、本人はかなり必死だ。
『違う! これは限定モデルだ! 知識ないやつが偽物って騒いでるだけ!』
 さらに追い打ちで別の住人がスクショを貼る。
『お前が載せた指輪、Amazonで1980円で売ってるやつwww』

 完全に詰んだ坊主デブ。しかし諦めない。
『お前ら本物と偽物の区別もつかねえんだな。審美眼ゼロか? 俺の方がセンスあるわwww』

 この無理筋な逆ギレが逆に火をつけ、スレは祭り状態に。
翌日にはまとめサイトに掲載され、タイトルはこうだった。

『【爆笑】ゼロコーラ片手にGUCCY愛を語る100キロ坊主デブおじさん』

 当の本人はというと、部屋で炊飯ジャー丼をかきこみながらニヤついていた。
「フッ……また俺の伝説が広まっちまったな」

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『ゼロコーラとアウディTT 〜禁断の炭酸大暴走編〜』

 坊主頭デブの一日は、ゼロコーラで始まりゼロコーラで終わる。
 朝起きるとまず1.5リットルを一本、冷蔵庫から取り出してゴクゴク。昼には二本目を、夜には三本目を空ける。もはや水よりも血液よりも、体内を流れているのはゼロコーラだった。

 そんなある夜。彼は「今日はゼロコーラを凍らせて食ってみるか!」と妙なアイデアを思いついた。
 冷凍庫に突っ込んだ1.5リットルのペットボトル。数時間後に取り出すと、半分ほどがシャーベット状になっていた。

「これが……俺だけのプレミアムコーラアイス!」
 満面の笑みで炊飯ジャーのご飯にドバッとかける。
 真っ赤な唐辛子丼の上に、黒いコーラ氷。
 まるで地獄のような食卓が完成した。

 一口食べた瞬間――。
「ヒィィィッッッッ!!!」
 強烈な炭酸と辛さが合体し、喉の奥で大爆発。
 しゃっくりとゲップと涙と鼻水が同時に噴き出した。

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