194 「庶民感覚」「自民党ぎらい」の受け皿に…河村たかし氏ら率いる日本保守党が「意外と伸びる」かもしれないワケ 真鍋 厚 2023.11.02 作家の百田尚樹氏とジャーナリストの有本香氏が立ち上げた政治団体「日本保守党」が話題を呼んでいます。X(旧Twitter)のフォロワー数が既存政党を大きく上回り、党員登録が殺到したことから、すでにネット上では注目の的になっており、Xでもトレンド入りするほどでした。 しかし、新聞などの大手メディアに報じられたのは、結党会見以降です。 名古屋市市長の河村たかし氏が日本保守党の共同代表に就任し、河村氏が代表を務める地域政党「減税日本」との特別友党関係の締結を発表したことが起爆剤となったからです。>>100 有本氏が夕刊フジのコラムに書いたように、「この大物参入により、日本保守党は一躍『全国メディア』に載る存在ともなった」のです(【有本香の以読制毒】/2023年10月19日/夕刊フジ)>>114。後述しますが、これは党を宣伝する上で非常に巧みな戦略といえます。 匿名さん2023/11/02 22:597
195 >>194 街頭演説も多くの聴衆を集めています。10月18日の名古屋市内での初街宣>>106に続き、21日には都内でも秋葉原と新橋で街宣を敢行>>135。両駅の周辺が黒山の人だかりとなり、熱気を帯びている様子がXに投稿され、「満員電車状態」「すごい人が来てる」などのコメントとともに拡散されました。ひょっとしたら何かが起こるかもという期待感が広がったのです。 その一方で、今後の見通しについては意見が分かれました。要は、今回の日本保守党に対する熱狂的な支持はネットだけの空騒ぎに過ぎず、選挙で実績は残せないという人々と、諸派として出発して国政政党に格上げされた「れいわ新選組」「NHKから国民を守る党」「参政党」のように、一定の成功を収めるのではないかという人々です。 筆者は、拙著『山本太郎とN国党 SNSが変える民主主義』(光文社新書)で展開した効果的なポピュリズムの手法に照らすと、一定の成功を収める可能性が高いとみています。 匿名さん2023/11/03 06:31
196 >>194 まず、ポピュリズムという言葉の定義ですが、政治学者の水島治郎は、ポピュリズムには2つの定義があると述べています(水島治郎『ポピュリズムとは何か』中公新書)。 一つ目は「固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に直接訴える政治スタイル」で、二つ目は「『人民』の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動」です。 そして後者のポピュリズムの特徴は、1.自らが「人民」を直接代表すると主張して正統化し、広く支持の獲得を試みる、2.「人民」重視の裏返しとしてのエリート批判、3.「カリスマ的リーダー」の存在、4.イデオロギーにおける「薄さ」の4点があるとしています(同上)。 日本保守党の結党会見をご覧になった方々は、二つ目の定義に当てはまることに気付かれたと思います。会見で河村氏は、政治がファミリービジネスになっていて、「普通の人」が出られない現状に触れ、「政治の家業化をなんとしてもストップしないと、強い日本は作れませんよ」と訴えました>>120。百田氏もこれに同調しました。 匿名さん2023/11/03 14:36
197 >>194 日本保守党の重点政策項目には「政治の家業化をやめる」があり、「国会議員の歳費、地方議員の報酬を一般国民並みの給与にまで引き下げる」「政党交付金を諸外国の事例に鑑み、半額程度に引き下げる」「資金管理団体の『世襲』を見直す」を掲げています。これはポピュリズムの観点からとても重要な主張です。 決定的なのは、会見における有本氏の「自民党と最も違うところは、(略)私たち皆庶民の出身なんですよ。この政治の家業化というのは、3代4代政治家をやっている。これはやっぱり一種の特権階級ですよ」という発言です。これがまさしく「『人民』の立場から既成政治やエリートを批判する」スタンスそのものだからです。 そして、これは2019年に「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」が先例を作った路線でもあります。れいわとN国党は、政策やカラーに相当な違いがありましたが、参院選で「消費税廃止」「NHKのスクランブル化」という国民の生活実感に根差した公約を打ち出し、「永田町の既得権益層」「NHK」という"特権階級"を執拗に攻撃していました。 匿名さん2023/11/03 20:261
198 >>194 当時、山本太郎氏は政見放送で「私たちがお仕えするのは、この国に生きるすべての人々」と言い「金持ちに優しい、大企業に手厚い。でもあなたのことは考えない今の政治」を批判。立花孝志氏は「頭のいいエリートが国会に集まって、やっていることといえば、消費税の増税とか、NHKの受信料を無理やり払わせる法律を作ったり」などと呆れてみせ、参院選は「令和の百姓一揆」であり「エリート国会議員がお代官様で、我々庶民が百姓」とアピールしました。 つまり、自分たちはどこか特定の利益団体に与することなく「一人ひとりの庶民の声」の代弁者であるイメージを鮮明にするとともに、既存の政治が野党も含めて「既得権益化」しており「腐敗したエリート」に支配されていることを問題視したのです。これは広く国民の感情に訴えることができる図式であり、現状に違和感がある人々ほど惹き付けられます。 参政党の台頭も同じ路線の結果です。参政党は2022年の参院選で、社民党やNHK党の得票数を超え、国政政党になりました。 匿名さん2023/11/03 23:25
199 >>194 公式サイトに「『仲間内の利益を優先する既存の政党政治では、私たちの祖先が守ってきたかけがえのない日本がダメになってしまう』という危機感を持った有志が集まり、ゼロからつくった政治団体」とわざわざ書いてあるほどです。 また、れいわ新選組、NHK党、参政党は、とりわけ躍進のきっかけになった選挙では、実質的にシングルイシュー政党としてくくることが可能なシンプルさで共通していました。 れいわは「あなたを守る」という生存権の完遂、NHK党は「NHKをぶっ壊す」という既得権益の打破、参政党はコロナ禍で噴出したコロナワクチンに対する疑惑の追及で注意を引きました。 日本保守党もこのようなシングルイシュー的なメッセージを上手く発信することができれば「化ける」可能性があります。なぜなら、多くの国民は自民党をはじめとする既存の政党に対する不満や怒りを抱えているからです。 特に「政治の家業化をやめる」は、政治家が世襲制のような様相を呈していることと、政治腐敗の原因を結び付けやすくし、 「国民の側」に立って国会議員の特権的地位に対する批判キャンペーンを展開することができます。 匿名さん2023/11/04 07:21
200 >>194 そこで、実例として圧倒的な説得力を持つのが河村氏の存在です。河村氏は会見でも述べた通り、自らの市長の給与を通常の3分の1以下の800万円に引き下げたことで知られています。 日本保守党は、選挙においても極力お金をかけない立場を明らかにしており、この「庶民の金銭感覚」に寄り添った方針は、消費税と物価高とインボイスに苦しむ国民の実情を踏まえると、想像以上に有権者の支持を集めるかもしれません。 また、自民党の移民政策などを疑問視し、自分たちこそが「本当の保守」を標榜し、「まともさ」を打ち出している点も見逃せません。 当たり前ですが、地域社会の受容力や職業訓練などのリソースを顧みない野放図な移民の受け入れは、様々な不安と混乱を巻き起こし、国民の反発を招くことは必至です。むしろ自分たちが暴走にブレーキをかける、国民が妥当と思えるラインにまで戻すという姿勢は、「金銭感覚」と併せて重要な要素といえます。 このように分析してみると、日本保守党は、右派ポピュリズム政党として躍進する可能性が高いと考えられます。 匿名さん2023/11/04 08:27
201 >>194 もちろん、同党が国会に議席を獲得し、国政政党となることが良いのかどうかについては議論が分かれるところでしょう。けれども、それよりも重要なのは2019年の参院選以降、「諸派の逆襲」が連鎖していることの意味ではないでしょうか。 それは一言でいえば、政治不信の深刻化であり、もっと言えば「自分たちの声を聞こうとせず、自分たちの生死に一切関心を持とうとしない政治」に対する絶望感です。 ここにおける「政治」という言葉には、ポーズだけの政権批判を終始し、選挙のことしか考えていない️⭕️野党の政治家たちも含まれていることに注意が必要です。そのため、ポピュリズムが力を持ち始めているのです。 今後、仮に国政において議席獲得ともなれば、SNSの発信力と併せて、圧力団体として無視できない実行力を持つかもしれません。 繰り返しになりますが、前述の庶民感覚に基づく政治家の特権階級化は、社会経済状況が悪化すればするほど国民に響くからです。日本保守党をめぐる熱狂をみるに、「諸派の逆襲」は新たな段階を迎えているといえそうです。 匿名さん2023/11/04 22:09